サム・クック、オーティス・レディング、ジェームズ・ブラウンが名を連ねる偉大な60年代の男性ソウル・シンガーのなかで、ソロモン・バークだけが今でも精力的にレコーディングを行っている。さらに驚くことに、本作でソロモンは自身にとって最高作となるフルアルバムを作り上げた。トム・ウェイツやエルヴィス・コステロ、ヴァン・モリソン、ブライアン・ウィルソン、ボブ・ディランを始めとするバークのファンであるスーパースターたちをソングライターに迎えたおかげだと言ってしまえばそれまでかもしれない。けれども、実際に本作を特別なアルバムにしているのは、各ナンバーのクオリティーと、世界で最も多才でカリスマ性を持ったシンガーのひとりであるバーク自身である。
全11曲は、気だるく魅惑的に嘆願するタイトル曲から、しゃがれ声のゴスペル「Diamonds in Your Mind」、カントリー・ソウルの「Other Side of the Coin」、公民権時代の勢いを伝える「None of Us Are Free」までさまざまである。ジョー・ヘンリーのプロデュースしたサウンドは抑えるところは抑え、ギター、ベース、ドラム、オルガン、ピアノをメインとする楽器群は始めから最期まで息がぴったりだ。ひしめく歴代のスターのなかでもバークが正真正銘のスターであることを疑うなら、ウィルソンとコステロの書いた2曲の小品や、ピック・パーネル名義のエンディング曲であり本作の聴き所のひとつ「Sit This One Out」に耳を傾けてみるがいい。過去そしてここ10年を通じて最高のアルバムである本作はR&Bのパイオニアによるこの上ない偉業であり、バークは60年代のアルバムタイトルで自ら名乗った『The King of Rock and Soul』の地位に再び返り咲いたのである。(Keith Moerer, Amazon.com)

 ・ Don’t Give Up on Me / Solomon Burke / amazon

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